Sanae'a collection

自分の体験を通じて文章化する事により一層深みのあるノンフィクションを五感で感じて頂きたいと思ってます

私のアジア紀行〜バリ編

 

フローラルな香りに満たされる優しい春🌸
春爛漫な情景に思いを馳せてフローラルな香りに満たされる優しい時間。           
薄桃色の花びらに芳醇な薫りを与えてくれる桜の木は春の舞台を心に深く演出してくれます。
ちいさなともし火のように一花ごとに新しい季節へと導いてくれる満ちゆく時の刻みに喜びを感じていきたいものです。
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雨の雫を受ける眩いばかりの若草色に憂いとしなやかさを感じながら幸せをみつけては豊かな気持ちになります。
つややかな緑から落ちて輝く雫は細胞が喜ぶ汗に似ているのでしょうか。

 

喜びを見出し 満ち溢れる夢を
春の淡い色調と豊潤な香りを感じて  
美しく咲く桜の季節は儚くも短い夢物語
辛辣な時を超えた時に出会える優しい風は胸に刻まれ想いが深まります。
充実した瞬間を一つでも多く体験するために人はこの世に魂をおいているのでしょう。

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前回に引き続きバリ編を届けいたします。

隣に住むスキンヘッドのマフィアとの出会い。
恐ろしい光景を目の当たりにしてしまって動揺を隠し切れないまま日課ともなっていた海へ向かった。

その日の海は強風に見舞われ私の水着姿たるやただでさえも自信のないものが体中砂まみれで一層惨憺たる状態。
髪も顔もそんな強風のおかげでメチャクチャになってとんでもない状態の中、もう帰ろうと思っていた時だった。前方より目を見張るようなイケ面フランス人が歩み寄ってくるではないの。
モデル張りの長身で誰もが目を引く魅惑のオーラを漂わせ、彼はフランス語風のつたない英語で
「こんな日に海?どうして?…ここに来てどの位?」
気取る事無く自然に話しかけてくる姿に心拍数は上がり自分の姿があまりにも無惨な事を我に返り出直したいと考えている最中
「今晩お食事でもいかがかな?」
ありえないお誘いに耳を疑ってしまった。
舞い上がってしまった私は何の疑いもなく了解のサインを即返すと
さぁ、こんな所にいる場合ではない。
小走りでコンドミニアムに戻ると、まだ商談中のマフィアの横を素通りして隠し切れない笑みに軽い足取りがあまりにも不自然だ。
シャワーを浴びて彼とのデートに最適な服をバックパックの中から物色。
まだ会社員の延長線上にあった時分リゾラバを期待しての浅はかな行動に過ぎない。
頭の中は興奮でアドレナリンが全開だ。
こんなリゾートでアバンチュールも悪くないわね。
大胆なことを妄想しながらその時間を心待ちにしていたのだ。
思えばスッピンであんなに砂まみれの汚いアジア女性をナンパすること自体不可解なお話。
それでも身のほど知らずのテンション上がる一方の私はあんな砂まみれの状況でも海岸でナンパの対象になっていたなんて…
私ったらやるじゃない!ふふふ
なんと愚か過ぎる自己満足。
日も落ち始めトロピカルな花柄のワンピースを着てメイクも全てセット完了。
彼が訪れるのを外で待つことにしよう。
すると隣のマフィアも商談が片付いたようで例の葉巻を燻らせながらリラクゼーションの体勢で黄昏ているようです。
マフィアに会釈をして自分の部屋の前のベンチでボーっとしていると暗闇から先ほどのイケ面フレンチが登場。
マフィアが私に目配せをしてきて親指を立ててくる姿に思わず苦笑。
このシチュエーションを今にもぶち壊しそうなマフィアにヒヤヒヤしながらもフランス人には最高の笑顔を向け海での汚い私は忘れて頂戴とばかりに挑発的に挨拶を交わした。

彼のエスコートにドキドキしながらバイクの後ろにまたがり、生ぬるい夜の空気と彼の体温を全身に感じながらアドレナリンは疼き出す。
恋の始まりは理屈ではなく五感がフルに使われる
投げやりで顧みない無防備でリスキーな快楽。
もしかしたらその空気に恋をしていたのかもしれない。到着したところは西洋人ご用達のイタリア料理のお店だった。
インドネシアの食事に飽きていたので久しぶりのワインにピザ。そして彼のフランス語交じりの英語で何いっているのだか分からない焦点が曖昧な愛の囁き。
それでもこんなリゾート地でしか味わうことの出来ない湿度高めの甘い時間を満喫し開放的な気持ちになっていた。

暫くスイートな時間を過ごした後、彼はおもむろに鞄から一冊の写真集を取り出してきた。
その瞬間今までの彼との満ちゆく夢の時間が見事に崩壊してしまう。とんでもないものを目の当たりにすることになってしまうのだ。


バリ編次回に続く
どうぞご期待ください

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新しい季節は沢山の愛で満たされたい・・・

花語らず 咲きしをしる
落ちてふたたび枝にかへらず
ただひとときに
すべてを託す
そは一輪の花の声
悔いもなく輝く
一輪の愛